国内においては「全国炭酸泉シンポジウム」を開催し、全国に「炭酸泉の長湯温泉」をアピールした。そして同時に本格的な温泉療養の先進地、ドイツのバートナムハイムとバートクロチングンという二つの都市と友好親善関係を結んだ。前年日本の自治体には、ふるさと創生資金一億が交付されることが決まっていた。直入町の素晴らしいところは、これを箱ものに使うのではなく、もっぱら人材と文化の交流に投じたことである。これが見事な成果を現した。
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大分県でももっとも過疎が深刻なこの町に、常に数人のドイツ人がいるようになった。同時にこの町の職員数人も常にドイツにいる。生徒たちも交換され、ドイツからやってきた子供たちはこの町の家庭にホームステイした。人材の交流は、着実に町の中に定着していった。もうひとつ直入町の国際交流に実があったのは、これが経済活動を伴ったことである。これによって交流がイベント的なものに終わらず、町同士の絆も太いものになった。まず顕著だったのが、この町のワインの輸入量がいきなり急増したことだ。しかもこれを消費するのは町民ではなく、ドイツから良質なワインが直輸入されると聞きつけた全国のワインファンだった。小さな過疎の町で日独経済は活性化し、これによって双方の交流は本気になった。それがドイツ側においても重要なものとなったことを示すのが、平成十(一九九八)年のバートクロチングンにおける「直入町ぶどう畑」の贈呈だろう。この畑で収穫された葡萄は、すべて直入町ブランドのワインとなる。バートクロチングンのワイン産業にとって、直入町はそこまでの存在となったのである。